メンテナンスのワークショップ

先日、建築家の伊礼さんが設計された「下田の家」で、施主でもある谷口工務店の方々と一緒に、基本的な植物の管理の仕方を学んでもらう機会として、庭のメンテナンスをワークショップというかたちで行いました。あいにくの雨天でしたが、皆さんカッパ姿で参加していただきました。

具体的には下草の整理と樹木の剪定を行いました。込み合っている木の枝の剪定を脚立に登って行います。花の終わった植物の花がらや、枯れた葉を回収しながら、タイムやプラティアなど横に広がっていく植物によって石や砂利が見えなくなっていたので、見えるように切り戻していきました。シャリンバイなどの低木とシランなどの高くなる下草は、ぶつかりあうので、剪定し間引きます。最後に季節の花を足しました。
一口に管理といっても、植物によって対応が変わります。思いっきりが必要な作業もあります。実際に手を入れ、触れ合いながら成長を見守ってあげると、徐々に植物の個性や調子もよく分かるようになると思います。

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どうしてメンテナンスが必要なのか?自然そのままでいいのでは?と訊ねられます。
植物は10年以上放置しておくと、成長の早いものなら50cmの低木が2~3mになり3mの高木が10mの巨木になってしまい、敷地に収まりきらなくなってしまいます。下草も競争して種類が減り、高木が生い茂りすぎると、下草は生えなくなってしまいます。自然の山の中でも、木々が生い茂った場所には下草はほとんど生えません。庭という小さな場所の中では、人の手によって少しずつ様子を見ながらバランスを整えていく必要があります。

庭をつくって間もない頃は今回のワークショップのような形で手助けさせていただきたいと思いますが、お施主様が今回のような下草の整理や、樹木の簡単な剪定・管理をできるようになっていただくと、愛情も湧き、いろんな庭の楽しみ方が発見できて、庭師による画一的な維持管理よりもあらゆる面で良い効果があると考えております。もちろん高所作業や薬剤散布のような専門的な作業はプロの方に頼った方が良いですが、観賞するだけではない、日々庭と共に暮らすパートナーである方々の自らの手と体と五感をつかって楽しみながら育ててもらう庭のあり方こそが、今まで慣例的に庭師によって作り上げられた作品として与えられた庭や定期的に手入れをすることで維持することが目的となってしまった庭から抜け出せる方法ではないでしょうか。庭は日々変化する生き物であり、一番身近な人が見守ってあげられる環境が最適に違いありません。庭を作った人・育てる人・植物3者の間のコミュニケーションをより充実させていくことは健康な庭をつくる上で最も重要な基盤でもあります。

日々の生活の中でほんの少しだけ時間をつくっていただいて、庭に出て、近くで植物の調子を見てもらえれば、刻々と変わっていく庭の表情を楽しむことができます。その中で、庭の使い方や自然との付き合い方を発見していってもらえると、緑の豊かさや外に出ることの気持ち良さがより鮮明に感じられることかと思います。

庭を「維持管理」「メンテナンス」しなければならないという見方ではなく、家を豊かに、美しくしてくれる生き物をパートナーとして育てていくという心持ちで緑と接していただくのが、これからの時代の庭のあり方だと思います。
by ogino_landscape | 2015-07-21 15:26 | ワークショップ | Comments(0)


荻野寿也景観設計のブログです。造園・グリーンの工事や管理の様子、植物の情報、参考になる原風景のイメージやインスピレーションを受けた物事などをスタッフがお伝えします。http://www.o-g-m.co.jp/


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